製品・プラントの輸出を行う場合、輸出先国の電機規格・安全規格に十分な留意をする必要があります。
相手地域の規格を無視して輸出・販売を行うと、関係行政機関により、 製品・設備の全面改修あるいは撤収を余儀なくされることがあります。

米国輸出

OSHA(米国連邦労働安全衛生局)の要求するNEC(米国電気工事規定)等の諸規定をパスする必要があります。

機械、装置の制御盤・制御機器に求められる重要な規格や要求事項​

■ NEC NFPA70

NEC(National Electrical Code) 米国電気工事規定 旧ANSI C1規格であり、ANSI/NFPA 70の規格としてよく利用され、通称NECコードと呼ばれる安全規格です。 総則、配線及び保護、配線方法・材料、汎用機器、特殊場所(クラスI,II,III,他)、特殊設備、特殊条件、通信系統等の構造物・施設の電線、 機械器具等の安全規定を含んでいます。各種米国法令に採用され、実質的な安全基準となっています。

■ UL508A(UL508、UL489、UL1077等)

UL,CSAの認定取得
米国、カナダに輸出される機器・設備の制御盤の認定を受ける方法として、
(1) 認定工場による組み立て
機器・配線材料などの全てが認定品であり、認定工場で組み立てられた制御装置・ 制御盤に対し、製造者が認定ラベルを貼ることができます。
(2) インスペクターによる機械・装置一括の認定認定
機器・材料を使用して制御装置・制御盤を非認定工場で製作した場合、 UL・CSAのインスペクターを非認定工場に呼んで装置一括の立ち会い検査を受け、認定を得て、 ラベルを貼ることができます。
あるいは、装置・機械ごとに現地に持ち込み、現地のインスペクターによる設備一括の立ち会い検査により、 取得することができます。但し、いずれの場合も、認定検査に係わる費用の一切を負担しなければなりません
重大性は言うまでもなくトラブルが発生してからでは、取り返しがつかなくなる可能性があります。

■ SCCR

Short Circuit Current Rating(短絡電流定格)の略称。
短絡事故による過電流に各動力回路の機器が耐えうる限界の電流値のことです。 NEC/NFPA70のArticle409.110Marking項目で工業用制御盤にSCCR値を表示するよう義務化されており、一般的にUL508A Supplement SBを用いてSCCR値を求めていくことになります

■ NEMA

NEMA(National Electric Manufacturers Associations) 米国電気工業会
モータ、エレベータ、電気製品・機器等の用語、構造、寸法、公差、安全性・操作特性・性能・品質定格、試験方法などに関する規格。 ANSI規格のC(電気部門)として多く採用されています。MGI(モータ)、MW1000(マグネットワイヤー)は良く利用されています。 また、防爆基準としてNEMA 250がありType1~13の規定(ENCLOSURE)が含まれています。

■ JIC EMP-1-67
■ JIC EGP-1-67
■ シカゴ電気規定
■ カリフォルニア電気規定
■ ロスアンゼルス電気規定

カナダ輸出

CEC(カナダ電機規定、CSA)の定めた安全基準を満足し、CSA検査機器による認可試験を受けたCSA認定品であることを義務づけており、
証明マーク表示をする必要があります。
仕様のうちで特に重要なもの
■CSA C22.1
■CSA C22.2 No.0-M1982
No.0.1-M1982 / No.14 / No.73 / No.94 / No.105

欧州輸出

欧州電機標準化委員会CENにより、IEC規格への規格整合化がはかられ、EN規格(欧州規格) として統一が進んでいます。
機械、設備の欧州輸出販売はCEマーキングの表示を義務づけています。

EN(European Standards) 規格(強制規格)

EU(ヨーロッパ連合)域内における統一規格でEU加盟国での産業水準の円滑化・産業水準の統一の為の規格。 欧州指令に順守しなければならない(EU加盟国は国内法として適用)  技術的に定義される低電圧指令では適応範囲の電気機器はすべて関連する規格に順守する義務がある。また、新しいEN規格が制定された場合は、6ヵ月以内に対応する自国の規格を差し替える必要がある。

CEマーキング

CEマーキング(CE認証)とは製品が特定の試験に合格しており、EUの安全指令を満たしていることを示すマークである。

CEマーキングの取得

機械・設備の欧州への輸出・販売のために絶対必要とされる表示マーク”CE”(CEマーキング) の取得をするためには、機械指令(2006/42/EC)に定められた安全基準・技術基準を満たした電気機器を使用し、 製造業者(輸入者)自身が「自己・適合宣言」するか、第三者機関(EU公認機関、即ち、 製品の形式検査や生産システム検査を行う事のできる独立した検査機関、例えば、TUV=ドイツ技術試験機関) の立ち会い検査を受け、基本要求事項への適合を証明しなければなりません。そして、これら証明書を添付し、 「一般に適用される基本としての健康、安全基準のみを定義」、「機械設備に対する多数の個々要求事項によって補完」 を謳った、機械指令(2006/42/EC)に適合していることを証明するCEマークを貼付、又は 添付して自己宣言をします。 この指令への適合性を証明する方法として8つのモジュールがあります。その中から自分にあった必要なモジュールを選択し、 適合性を証明しなければなりません。そのモジュールは、設計内容の評価と生産システムの評価の両面から構成されています。
CEマーキングの後、製品に何かトラブルが発生した場合、製品に関する責任は全て製造者が負う必要があります。 EU当局の調査結果によっては、製造者は速やかに製品を市場から撤去しなければなりません。また場合によっては、 禁固刑や罰金を課せられることがあり、これは北米、カナダ輸出の場合のPL法と同様に、トラブルが発生した場合、 各国の対応はまちまちになると思われます。
EUでの整合規格の適合性を評価する一つの方法として、品質システム規格が幅広く利用されてきました。即ち、 ISO9000シリーズでは、供給者は、購入者が供給者に要求する品質項目を満足できるような品質管理システムを作り、ISOが認定した機関による監査を受け、合格することによって「規定要求事項」に適合した品質システムを持っていることが保証されます。

UKCAマーキング(UK Conformity Assessed marking)

UKCAマーキングは英国市場に流通する製品に対し、必要となる製品マーキングでありCEマーキングに代わる要求事項です。
本質的な安全衛生要件はEUの機械指令(2006/42/EC)と同一ですが、今後 機械指令(2006/42/EC)と項目が乖離する可能性もあります。(2020年12月31日現在)

中国輸出

GB(中国国家標準規格)では強制のもの(GB)と推奨である(GB/T)のものがあり強制GBでは対象製品・サービスは準拠しなければ、「生産」「販売」「輸出」が出来ない。 推奨GBは法規制が無いので日本のJIS規格に近い扱いである。

CCCマーク規制について

中国の WTO加盟によりグローバルスタンダード適応の必要性から中国で販売される、20種・161品目に関してCCCマーク認証(安全とEMCの強制認証)が強制執行されます。対象商品は、AQSIQ、CNCAから発行された広告第33号、CCC対象HSコード、強制性認証実施規制、又はCNCAへの直接の問合わせによって判断できます。CCC対象品目であり中国国内で流通されない。製品に関しては、CCC免除申請を行うことによってCCCマークなしで中国国内への輸出を許可されます。

CUTR規格(EACマーキング)

ロシア・ベラルーシ・カザフスタンの3国共通のEACマーク制度が2013年2月15日に強制となりGOST-R認証済製品であってもEAC認証取得が必要となった。産業機械・設備 / 低電圧機器等が対象となっており、EACマークの貼り付けが要求される。

インド輸出

BIS(Bureau of Indian Standards)認証やIS(インド規格)マークの表示を対象品目に義務付ける強制認証。 当該品がインド国内で使用される場合は認証が必要になります。

防爆規格

ATEX指令
爆発性雰囲気下で使用する機器および保護システムを対象で、EC(欧州共同体)指令 94/9/EG により、CEマーキング適合指令の一つとして、2003年7月より強制となった指令。 製品をEUの市場に投入するまでに適用しなければならない安全衛生上の必須要件および適合性評価手順について定めている。
IECEx
爆発性雰囲気下で使用する機器の認証で、IEC(国際電気標準会議)で作成された規格に基づいている。 規格の本質として、メーカーの試験・認証にかかる費用の削減、製品評価・製品の安全性の確立などが挙げられる。

国際規格

■IEC(International Electrotechnical Commission) 国際電気標準会議

電気・電子に関する国際規格の統一と協調を促進する目的で創設された国際標準化機関です。IEC規格は、 ISO規格と共に日本国内で最もよく利用される海外規格の一つとなっています。IEC規格に準拠するように各加盟国に強く勧告しており、 IEC規格への整合性が、急速に進められています。日本、欧米各国、ソ連、東欧圏、中国など41ヶ国が加盟しています。

■CEE(International Commission for Conformity Certification of Electrical Equipment)欧州電気機器統一安全規格委員会

ソ連、東欧を含む東西ヨーロッパを包括した電気安全規格の制定を目的としています。特に電源用プラグ、 ソケット等についてはCEE規格が多くの国で採用されています。22ヶ国が加盟し、日本、アメリカ、カナダなどがオブザーバーとして参加しています。

■ANSI(American National Standards Institute) 米国規格協会

米国国家規格、旧称ASA(American Standards Associationの略称で、写真のフィルム感度等で有名)。 建設・機械・電気・電子をはじめ医療・コンピューター、宇宙原子力まで広範囲に発行され、日本でも非常に多く利用されています。 A ,B,Y,Zなど独自規格以外にASME,AWS,EIA,IEEEなど主要団体規格を取り入れています。

■ANSI Z535

ANSI Z535はANSI(NEMA)に設置されているZ535委員会のことで、Safety Signs and Colors(安全・記号及び色) を扱っています。特定の危害、警告、事故の防止目的に使用される記号、色及びシンボルを規格化します。1979年にZ53委員会とZ35委員会が合併してZ535となり、Z535.1~Z535.5の5件が1991年6月6日に承認されました。製品安全記号及び警告ラベルはZ535.4です。 日本語訳版が、94年2月に「ANSI製品取扱説明書作成ガイドと安全標識・警告ラベル」

■NEC(米国電気工事規定)

旧ANSI C1規格であり、ANSI/NFPA 70の規格としてよく利用され、通称NECコードと呼ばれる安全規格です。 総則、配線及び保護、配線方法・材料、汎用機器、特殊場所(クラスI,II,III,他)、特殊設備、特殊条件、通信系統等の構造物・施設の電線、 機械器具等の安全規定を含んでいます。各種米国法令に採用され、実質的な安全基準となっています。

■NFPA(米国防火協会)

防火、安全設備、産業安全防止装置等について各種のコード、マニュアル、ハンドブック類を刊行しています。多くのものはANSIとして採用され、 全コードを収録したNFPA Fire Code Setがよく利用されます。NFPA No.70はNECコードとして有名です。

■CSA(カナダ規格協会)

カナダを代表する団体規格で土木・建築・機械・電気から自動車・材料・溶接等幅広く規定を制定しています。

■VDE(ドイツ電気技術者協会)

電気機器の製造、操作、据付、家庭用電気製品の特性、性能、試験などに関する価格を制定しています。 多くはDIN-VDEの規格として発行されています。DIN57xxxシリーズはこのVDE規格に割り当てられています。 VDE規格に合致したことを証明した製品には、VDEマークが表示されます。また、VDEはCENELEC, CECC,IECEE,ECE,EECの認定試験機関でもあります。VDE規格は、IEC規格やEN規格(CENELEC)を多く採用しています。 VDE規格はドイツの法律上、認定を強制されませんが、感電、火災等の事故が発生した時の罰則が厳しく、実質上強制と同じ事になってしまいます。

■DIN(ドイツ規格協会)

DIN規格自体はDeutsche Normと表記されます。東独と合併して統一ドイツの国家規格となりました。 基本的な規格から全産業部にわたって広範囲の規格として活用されており、ISO/EN規格等への影響力も大きく重要な規格の一つです。 規格は、一連番号の他、DIN/ISO,DIN/IEC,DIN/VDE,DIN/EN他の採用規格も明示されます。

■BS(イギリス規格)

イギリスの規格協会(British Standards Institution )の発行する産業全般の国家規格。一連番号のGeneralシリーズの他、CPの略号で示される施工基準や自動車部品のAUシリーズ、造船 用のMAシリーズ等があります。また、BS/ENシリーズ(航空及びEN規格対応) も多く発行されています。BSIマークの”Kiteマーク”のライセンス制度が実施されています。圧力容器ではBS5500規格(1993年)、 品質保証規格ではBS5750シリーズが有名です。広範囲の産業分野での標準化を推進しているほか、DINAFNORとともにCEN/CENLECのヨーロッパ統一規格の制定及びISO/IECの国際標準化作業でも主導的な役割を演じています。

■BV(フランス船級協会)

フランスの船舶規格です。

■NEMKO(ノルウェー規格)

殆どの家庭用電気製品は強制試験が必要で、証明書無くして販売・使用はできません。 認定品には”Nマーク”の表示が許可されます。

■SEMKO(スウェーデン電気製品安全規格)

1925年に電力供給会社協会と火災保険協会によって設立。1935年に政府公認。 ほとんどの電気製品がSEMKOに認定された製品を使用しないといけない。 SEMKOの承認をうけた製品には、”Sマーク”の表示が許可されます。

■SEV(スイス電気技術者連合)

電気製品・部品に関する試験機関で、スイスで販売される電気製品、部品はすべて認定品でなければなりません。

■KEMA(オランダ電気製品規格)

オランダ電気技術者連合。1927年に設立。 PVC絶縁ケーブル・コード等 電気材料、プラグやレセプタクル・ヒューズなどが法律によってKEMAの認定マークが必要となっており、一部電気器具・製品は任意となっている。

■DEMKO(デンマーク電気製品規格)

1962年位に設立。デンマークの政府機関。24V~250Vまでで使用される機器等について強制的に試験・承認が必要です。 24V以下でも人体に危険が及ぶ場合は強制試験の認証が必要になる。 承認された機器には”Dマーク”が表示されます。

■TUV(ドイツ技術検査協会)

ドイツへの輸出品全般の認証と検査には不可欠の技術基準として日本のメーカにも良く知られています。EU(欧州連合) の安全規制に対するCEマーキングを施す場合、第三者機関の認証を受ける方法があります。TUVはEU公認機関(Notified Body) としての資格を有していて、製品の型式検査や生産システム検査を行うことができます。日本では、ラインランド技研(株)、 TUVプロダクト・サービス社が製品認定のサービスを行っています。