製品・プラントの輸出を行う場合、輸出先国の電機規格・安全規格に十分な留意をする必要があります。
相手地域の規格を無視して輸出・販売を行うと、関係行政機関により、 製品・設備の全面改修あるいは撤収を余儀なくされることがあります。
CCCマーク規制について
中国の WTO加盟によりグローバルスタンダード適応の必要性から、2003年5月1日より中国で販売さ
れる19種・132品目に関してCCCマーク認証(安全とEMCの強制認証)が強制執行されます。対象
商品は、AQSIA、CNCAから発行された広告第33号、CCC対象HSコード、強制性認証実施規制、
又はCNCAへの直接の問合わせによって判断できます。CCC対象品目であり中国国内で流通されない
製品に関しては、CCC免除申請を行うことによってCCCマークなしで中国国内への輸出を許可されます。
OSHA(米国連邦労働安全衛生局)の要求するNEC(米国電気工事規定)等の諸規定をパスする必要があります。 連邦政府機関、州、市によってはUL認定品使用を義務づけています。
機械、装置の制御盤・制御機器の規格で特に重要なもの
■UL508
■NEC NFPA70
■NEMA
■JIC EMP-1-67
■JIC EGP-1-67
■シカゴ電気規定
■カリフォルニア電気規定
■ロスアンゼルス電気規定
CEC(カナダ電機規定、CSA)の定めた安全基準を満足し、CSA検査機器に よる認可試験を受けたCSA認定品であることを義務づけており、証明マーク表示をする必要があります。
仕様のうちで特に重要なもの
■CSA C22.1
■CSA C22.2 No.0-M1982
No.0.1-M1982 / No.14 / No.73 / No.94 / No.105
UL,CSAの認定取得
米国、カナダに輸出される機器・設備の制御盤の認定を受ける方法として、
(1) 認定工場による組み立て
機器・配線材料などの全てが認定品であり、認定工場で組み立てられた制御装置・ 制御盤に対し、製造者が認定ラベルを貼ることができます。
(2) インスペクターによる機械・装置一括の認定
認定機器・材料を使用して制御装置・制御盤を非認定工場で製作した場合、 UL・CSAのインスペクターを非認定工場に呼んで装置一括の立ち会い検査を受け、認定を得て、 ラベルを貼ることができます。
あるいは、装置・機械ごとに現地に持ち込み、現地のインスペクターによる設備一括の立ち会い検査により、 取得することができます。但し、いずれの場合も、認定検査に係わる費用の一切を負担しなければなりません
しかしながら、安全性に対する国際的な意識の高まっている中で、製造物責任 (PL=PRODUCT LIABILITY)の重大性は言うまでもなくトラブルが発生してからでは取り返しがつかなくなることがあります。
欧州電機標準化委員会CENにより、IEC規格への規格整合化がはかられ、EN規格(欧州規格) として統一が進んでいます。機械、設備の欧州輸出販売はCEマーキング表示を義務づけています。
CEマーキングの取得
機械・設備の欧州への輸出・販売のために絶対必要とされる表示マーク"CE"(CEマーキング) の取得をするためには、EC機械指令に定められた安全基準・技術基準を満たした電気機器を使用し、 製造業者(輸入者)自身が適合宣言(自己宣言)するか、第三者機関(EU公認機関、即ち、 製品の形式検査や生産システム検査を行う事のできる独立した検査機関、例えば、TUV=ドイツ技術試験機関) の立ち会い検査を受け、基本要求事項への適合を証明しなければなりません。そして、これら証明書を添付し、 「一般に適用される基本としての健康、安全基準のみを定義」、「機械設備に対する多数の個々要求事項によって補完」 をうたったEC機械指令に適合していることをCEマークを貼り付けて、又は、添付して、自己宣言します。 この指令への適合性を証明する方法として8つのモジュール(A〜H)があります。その中から自分にあった必要なモジュールを選択し、 適合性を証明しなければなりません。そのモジュールは、設計内容の評価と生産システムの評価の両面から構成されています。
CEマーキングの後、製品に何かトラブルが発生した場合、製品に関する責任は全て製造者が負うシステムになっています。 EUEU当局の調査結果によっては、製造者は速やかに製品を市場から撤去しなければなりません。また場合によっては、 禁固刑や罰金を課せられることがあります。これは、北米、カナダ輸出の場合のPL法と同様に、トラブルが発生した場合、 各国の対応はまちまちになると思われます。
EUでの整合規格の適合性を評価する一つの方法として、品質システム規格が幅広く利用されてきました。即ち、 ISO9000シリーズでは、供給者は、購入者が供給者に要求する品質項目を満足できるような品質管理システムを作り、ISOが認定した機関による監査を受け、合格することによって「規定要求事項」に適合した品質システムを持っていることが保証されます。
■IEC(International Electrotechnical Commision) 国際電気標準会議
電気・電子に関する国際規格の統一と協調を促進する目的で創設された国際標準化機関です。IEC規格は、 ISO規格と共に日本国内で最もよく利用される海外規格の一つとなっています。IEC規格に準拠するように各加盟国に強く勧告しており、 IEC規格への整合性が、急速に進められています。日本、欧米各国、ソ連、東欧圏、中国など41ヶ国が加盟しています。
■CENELEC(Comite Europeen de Normalization Electrotechnique) ヨーロッパ電気標準化委員会
EUヨーロッパ共同体地域内の電気・電子関係規格の調整・統一を目的としています。現在の加盟国は18ヶ国で、CEN(ヨーロッパ標準化委員会)とCENELECは共同でヨーロッパ規格(EN規格)を制定し、各メンバー国はEN規格を自国の国家規格として採用しています。
■ISO(International Organization for Standardization) 国際標準化委員会
知的、科学的、技術的及び経済的活動分野における国際間の協力を助長するために世界的な標準化及びその関連活動の発展開発を図ることを目的とした非政府間機構であり、 電気関係を除くあらゆる分野の規格を制定する代表的な国際標準化機関です。
■ISO9000シリーズ規格
ISO9000シリーズ規格は1987年3月にISO(国際標準化機構)によって制定された品質管理及び品質保証のための一連の国際規格です。 9001〜3の規格は、契約に基づいて購入者が供給者に要求する品質システムの要求事項を規定します。 9001は設計段階からアフターサービス段階に至る各段階での品質システムを要求しており最も厳しい規格となっています。9004は品質管理のガイドラインを示し、 9000は、選択・使用の手引きを示しています。EC域内のCEマーキング表示の許可条件としてISO9000シリーズの適用が規定され、 現在日本でも最も注目されています。'94年1月現在では、世界の68ヶ国(さらに9ヶ国は準備中)で国家規格として採用され、 品質システム審査・登録制度も40ヶ国以上の国で運営されています。
■CEE(International Commission for Conformity Certification of Electrical Equipment) 欧州電気機器統一安全規格委員会
ソ連、東欧を含む東西ヨーロッパを包括した電気安全規格の制定を目的としています。特に電源用プラグ、 ソケット等についてはCEE規格が多くの国で採用されています。22ヶ国が加盟し、日本、アメリカ、カナダなどがオブザーバーとして参加しています。
■UL(Underwriters Laboratories Inc.) 米国保険業者試験所
1894年に米国火災保険業者組合によって設立された非営利試験機関で、安全検査のアメリカに於ける代表的な規格としてあらゆる電気製品について試験・認定を行っています。 例えば、災害防止、暖房、空調、電気設備、材料等の部門でUL規格が広く採用されているUL 94等。政府機関、州、自治体の基準の中でULの認定品を条件に規定している場合が多くみられます。
■NEMA(National Electric Manufacturers Associations) 米国電気工業会
モータ、エレベータ、電気製品・機器等の用語、構造、寸法、公差、安全性・操作特性・性能・品質定格、試験方法などに関する規格。 ANSI規格のC(電気部門)として多く採用されています。MGI(モータ)、MW1000(マグネットワイヤー)は良く利用されています。 また、防爆基準としてNEMA 250がありType1〜13の規定(ENCLOSURE)が含まれています。
■ANSI(American National Standards Institute) 米国規格協会
米国国家規格、旧称ASA(American Standards Associationの略称で、写真のフィルム感度等で有名)。 建設・機械・電気・電子をはじめ医療・コンピューター、宇宙原子力まで広範囲に発行され、日本でも非常に多く利用されています。 A ,B,Y,Zなど独自規格以外にASME,AWS,EIA,IEEEなど主要団体規格を取り入れています。
■ANSI Z535
ANSI Z535はANSI(NEMA)に設置されているZ535委員会のことで、Safety Signs and Colors(安全・記号及び色) を扱っています。特定の危害、警告、事故の防止目的に使用される記号、色及びシンボルを規格化します。1979年にZ53委員会とZ35委員会が合併してZ535となり、Z535.1〜Z535.5の5件が1991年6月6日に承認されました。製品安全記号及び警告ラベルはZ535.4です。 日本語訳版が、94年2月に「ANSI製品取扱説明書作成ガイドと安全標識・警告ラベル」
■NEC(National Electrical Code) 米国電気工事規定
旧ANSI C1規格であり、ANSI/NFPA 70の規格としてよく利用され、通称NECコードと呼ばれる安全規格です。 総則、配線及び保護、配線方法・材料、汎用機器、特殊場所(クラスI,II,III,他)、特殊設備、特殊条件、通信系統等の構造物・施設の電線、 機械器具等の安全規定を含んでいます。各種米国法令に採用され、実質的な安全基準となっています。
■NFPA(National Fire Protection Association) 米国防火協会
防火、安全設備、産業安全防止装置等について各種のコード、マニュアル、ハンドブック類を刊行しています。多くのものはANSIとして採用され、 全コードを収録したNFPA Fire Code Setがよく利用されます。NFPA No.70はNECコードとして有名です。
■MIL(Military Specifications,Standars) 米軍規格・仕様書
米国国防総省(DOD)が制定、発行(GPO)し、DODISSがその目録です。これには連邦政府(FED)等、政府、 軍関係資料のほか、ASTM等多くの民間団体規格も採用されています。
■CSA(Canadian Standards Association) カナダ規格協会
カナダを代表する団体規格で土木・建築・機械・電気から自動車・材料・溶接等幅広く規定を制定しています。
■VDE(Verband Deutscher Elektrotechniker) ドイツ電気技術者協会
電気機器の製造、操作、据付、家庭用電気製品の特性、性能、試験などに関する価格を制定しています。 多くはDIN-VDEの規格として発行されています。DIN57xxxシリーズはこのVDE規格に割り当てられています。 VDE規格に合致したことを証明した製品には、VDEマークが表示されます。また、VDEはCENELEC, CECC,IECEE,ECE,EECの認定試験機関でもあります。VDE規格は、IEC規格やEN規格(CENELEC)を多く採用しています。 VDE規格はドイツの法律上、認定を強制されませんが、感電、火災等の事故が発生した時の罰則が厳しく、実質上強制と同じ事になってしまいます。
■DIN(Deutsche Institut fur Normung) ドイツ規格協会
DIN規格自体はDeutsche Normと表記されます。東独と合併して統一ドイツの国家規格となりました。 基本的な規格から全産業部にわたって広範囲の規格として活用されており、ISO/EN規格等への影響力も大きく重要な規格の一つです。 規格は、一連番号の他、DIN/ISO,DIN/IEC,DIN/VDE,DIN/EN他の採用規格も明示されます。
■GL(Germanischer Lloyd) ドイツ船級規格
ジャーマン・ロイドとよばれ、ドイツのハンブルグに本部を置く船級協会の規格です。
■BS(Britsch Standards) イギリス規格
イギリスの規格協会(Britisch Standards Insitition)の発行する産業全般の国家規格。一連番号のGeneralシリーズの他、CPの略号で示される施工基準や自動車部品のAUシリーズ、造船用のMAシリーズ等があります。また、BS/ENシリーズ(航空及びEN規格対応) も多く発行されています。BSIマークの"Kiteマーク"のライセンス制度が実施されています。圧力容器ではBS5500規格(1993年)、 品質保証規格ではBS5750シリーズが有名です。広範囲の産業分野での標準化を推進しているほか、DINAFNORとともにCEN/CENLECのヨーロッパ統一規格の制定及びISO/IECの国際標準化作業でも主導的な役割を演じています。
■LR(Lloyd's Register of Shipping) ロイド船級協会
英国ロイド船級協会が認定する船舶用品の規格。本部はイギリスのロンドンに置かれています。
■BV(Bureau Veritas) フランス船級協会
フランスの船舶規格です。
■NEMKO(Norges Elektriske Materielkontrol)
ノルウェーの安全規格。殆どの家庭用電気製品は強制試験が必要で、証明書無くして販売・使用はできません。 認定品には"Nマーク"の表示が許可されます。
■SEMKO(Svenska Elektriske Materielkontrol Anstalten)
スウェーデンの電気製品安全規格。SEMKOの承認をうけた製品には、"Sマーク"の表示が許可されます。
■SEV(Schweizerischer Elektrotechnischer Verein) スイス電気技術者連合
電気製品・部品に関する試験機関で、スイスで販売される電気製品、部品はすべて認定品でなければなりません。
■KEMA(N.V.tot Keuring van Electrotechnische Materialen)
オランダ電気技術者連合。電気製品の安全規格を定めています。
■DEMKO(Danmarks Elektrische Materielkontrol)
デンマークの政府機関。24V〜250Vまでで使用される機器等について強制的に試験・承認が必要です。承認された機器には"Dマーク"が表示されます。
■SETI(Sahkotarkastuskeskus Elinspektionscentralen)
フィンランドの電気設備検査機関。電気機器、電機器具等は強制検査の対象になります。
■BG(Berufsgenossenschaft)
ドイツの労働障害保険組合。ドイツでの全ての労働安全について指導的役割を担っており、BG自身で機器類の認定作業を行っています。
■TUV ドイツ技術検査協会
ドイツへの輸出品全般の認証と検査には不可欠の技術基準として日本のメーカにも良く知られています。EU(欧州連合) の安全規制に対するCEマーキングを施す場合、第三者機関の認証を受ける方法があります。TUVはEU公認機関(Notified Body) としての資格を有していて、製品の型式検査や生産システム検査を行うことができます。日本では、ラインランド技研(株)、 TUVプロダクト・サービス社が製品認定のサービスを行っています。
■JIS(Japanese Industrial Standard) 日本工業規格
工業標準化法(1949年)に基づいて主務大臣によって制定(工業標準調査会により)される日本の鉱工業に関する国家規格をジスと呼びます。 部門ごとにアルファベット記号と4桁の数字で表され、日本規格協会から発行されています。JIS Z9900シリーズはISO 9000シリーズに対応する品質システムの規格です。
■PL(Product Liability)
製品責任または、製造物責任と言われます。JIS Z8101では『設計、製造もしくは表示に欠陥のある製品を使用した者、 又は、第三者がその欠陥のため受けた損害に対して、製造業者や販売業者が負うべき賠償責任。』と定義されています。欧米では、 訴訟のケースで問題となっているケースが多くあります。また、米国では、「PL公正法案」など改革法案作りが着手されています。日本では、 1995年7月からPL法「製造物責任」法が施行されます。
注意:規格に関して、関連規格として掲載したものであり、そのメーカーの全製品に対して適用できるわけではありません。